『忘れる事はできません』
終戦から65年がたちました。
あの戦争の事、終戦の日のことを利用者さんと共にお話できる職員はほとんどいません。
8月7日 丁度園の夏祭りの行われる日の朝、1階エレベーター前でデイサービス『パレッ
ト』(認知症対応型)をご利用の Hさんにお会いしました。椅子に腰掛けてしばらくお話を
していたのですが、私が「昭和20年8月15日は、私の小学校に上がる前年のことで、
意味は解からなかったのですが、がーがー言うラジオの前で大人たち とりわけ何時もは
厳しい祖母が泣いていたのがとても不思議で、異様な光景として今でもはっきり覚えてい
ます。 Hさんは終戦の時はどこにいらっしゃたのですか?」と申し上げました。
普段のHさんのことを思うと ご返事が返ってくることなど全く思いも寄りませんでし
た。ところがHさんが突然 「65年か・・・・そんなになるのか」とぼそっとおしゃったのです。
驚いてHさんの方を見ると、しばらく無言でうつむいていらっしゃいましたが、
「天皇陛下が・・・・・」とおっしゃっただけで後は泣いてしまわれ言葉にはなりませんでした。
胸詰まる思いでした。
Hさんのこの65年間を思わずには居られませんでした。悔しさと悲しさと怒りと・・・・・・
めっきり口数の少なくなったHさんですが、今朝のHさんは多くのことを示唆してくださいました。
大きな傷跡を残したあの大戦はなんの為だったのか、その痛みを無言で背負っていて
くださっているのがご利用者の皆様であり、その痛みは65年の歳月が過ぎても忘れる事の
できない深い思いである事、今 平和に過ごしている私たちは何をしなくてはならないのか、
「認知症」と言う病名で一くくりに物事を判断していないかと言う警告 等々。
夏祭り"だと浮かれる前に心を引き締められた貴重な8月7日の出来事でした。

